「なんでサイバー犯罪調査の研究所が、マーケティングの研究をしているの?」
と、違和感を感じる方も多いかと思います。
マーケティングといえば広告、Web、コンサルなどの分野で活用されているものですし、サイバー犯罪とは程遠いもののように感じてしまうかも知れません。
そのためまずは、当研究所がマーケティングの研究をしている理由からご説明いたします。
脅威の情勢や流行を知り研究課題を見つけるために、マーケティングを必要としています。
そもそもマーケティングとは、「世間で真に求められている需要を見つけ出すこと」からスタートする取り組みです。
もう少し分解して説明します。
マーケティングでは、需要を見つけ出すために次のような観察や分析を実施することとなります。
◆潜在する課題の発見
◆課題を放置することにより被る不利益、および解決することにより享受できる利益の詳細。
◆課題に対する人々の反応の傾向。例えば放置を甘んじるのか、解決を望むのかなど。
このようなプロセスを経て需要の有無を見極めます。
これをサイバー犯罪に当てはめて言いますと、『顕在化していない新しい脅威の存在を知り、その被害者の生の声を聞く。』ということになります。
コンピュータは日進月歩で進化し、それに伴って常に新しい脅威が発生し続けているため、まずはその新しい脅威の存在に気付く必要があります。
次に、新しい脅威の存在を知ったとしても、その解決を望む人がいないようであれば、当研究所の研究対象から外れます。
「解決したい」と切望する人がいるからこそ、当研究所が研究する意義があると考えているからです。
このように脅威発見と研究の是非の判断のために、当研究所はマーケティングを必要としているのです。
誤解の無いように補足します。
解決を望む声が無いとしても、その脅威を研究することには大きな意義や価値があります。
しかしそれは、当研究所のような営利団体ではない研究機関が学術的な目的で研究する方が合理的だと考えておりますので、当研究所では対象外としています。
「犯罪」というセンシティブなテーマのため、通常のマーケティング手法では不都合が生じるので、独自開発が必要なのです。
一言にマーケティングと言っても、その手法やツールは多種多様あります。
マーケティングサービスの企業は、その様々な手法等の中からクライアントの案件に適切なものを選択し、実行します。
当研究所でも同様に、既に考案されているマーケティング手法を用いて課題を分析することがあります。
しかしそれだけでなく、当研究所では“マーケティング手法そのもの”の研究開発も行っております。
なぜならば、サイバー犯罪は一般的なテーマとは大きく違い、とてもセンシティブな要素(他人には言いたくない内容)を多く含めるテーマであるため、通常のマーケティング手法では上手く行かないことが多々あるからです。
そのため当研究所ではマーケティング手法を独自に研究しているのです。
「どうすればマーケティングを効率よく実施できるか」という理論の組立から始まり、ツールの開発、アプローチ環境の構築などを経て、実際にマーケティングを試験的に実行し、その効果を測定するという研究開発を行っております。
また、研究所に籠もってマーケティングに取り組むだけでは、世の中の情勢や“リアルな生の声”を知るのに限界があります。
そのため当研究所では社外活動にも積極的に取り組んでおります。
情報セキュリティ関連の研究会、講演会、メーカーやベンダーなどの催事や行事に積極参加したり、また情報セキュリティ分野に限定せずコンピュータ業界、IT/ICT業界、法曹界など様々な分野から沢山の“リアルな生の声”を集め、そこから「真に求められている需要」を知り、調査サービスの研究開発へと繋げております。